バヌアツ訪問記 その1

バヌアツってどんな国?
2月2日の朝、私は南太平洋に浮かぶ小さな島の空港に降り立った。雨上がりの滑走路を歩いていると湿ったなま暖かい風が頬をなでる。今回が私にとって3回目の訪問となるこの国の名前はバヌアツ共和国、南北にわたる83の島々からなる人口わずか24万あまりのメラネシアに属す小さな島国である。 この聞きなれない国の場所は、と言うと、南にニューカレドニアと東にフィジーと言えばなんとなく想像がつくかもしれない。主な産業は農業と観光、といっても農村部ではコプラ(ココヤシの果実の胚乳を乾燥したもの)の生産があるが、ほとんどの島民はほぼ自給自足の生活である。公用語はビスラマ語、英語、仏語の3つだが、地方の言葉は100以上存在する。ビスラマ語が普及する前は他の島の人との疎通ができず、そのため絵文字文化が生まれたという。しかしながら、なじみがないようで「バンジージャンプ発祥の地」「世界で一番幸せな国」というフレーズを聞けば思いつく人もいるだろう。 富山からは飛行機を4回乗り継いでその飛行距離およそ1万キロ、そんな最果ての地にも思われるこの国を訪れるきっかけとなったのは、今から6年前のことである。

バヌアツ訪問のきっかけ
私が属するあるクラブの姉妹クラブがオーストラリアにあり、そのクラブがバヌアツで一番大きな島であるサント島の奥地にある小さな村に、診療所を建てるので協力してくれないか、と頼まれたのが事の発端である。  

バヌアツに到着して
最初に訪れた時は真夜中、飛行場をでるやいなや漆黒の闇に包まれた時は「とんでもないところに来てしまった」という感が一気にわいてきた。でこぼこ道を、もうとっくにお目にかからない日本製のおんぼろ車におしこめられ、窓から入ってくる湿っぽい夜風に吹かれながら、聞こえてくるのは茂みの中からの不気味な犬の遠吠えだけである。一夜あけると、昨晩の不安も解消。そこには朝の長閑な、田舎の風景が広がっていた。しかし人々の顔が茶褐色の国は初めてで、よく見ると行きかう人の中には裸足の人も大勢いる。服装はTシャツにズボンが一般的で、民族衣装らしきものは一切見かけない。(今回のわれわれのワゴンの運転手も裸足であった。)  

いよいよ目的地の村まで
目的地の村までは空港から100キロあまり。中心地から離れればもう何もないので、まずは買い出しである。ペットボトルの水を1ケースとあとは・・・と言いたい所だがとくに買うようなものはない。大きな市場が開かれているので覗いてみる。ここならではの熱帯の産物がところせましと並んでいるが、大きな「こうもり」も売っている、聞けば食用だそうだ。わずか100メートルほどのメインストリートを抜けると、ほどなく道の両側はヤシの木やジャングルとなる。交通量は全くと言っていいほどないのだが、奈何せん道路は舗装されておらず、あちらこちらに大きな穴があいていてスピードは出せない。それどころか穴を越えるたびに、頭をクルマの天井に打ちつけそうになる。目に入るのは空の青と森の緑だけ。なぜか落ち着いた気分になるのは、この単調な風景と時折見かける村人がにこやかなせいかもしれない。約2時間余りかけようやく目的地に到着する。  

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村の生活
村の小さな診療所には、そこを管理する看護師さんと村人たちが食事を用意して待っていてくれた。この島には常駐の医師がおらず、ここは言わば助産院のようなもので、10キロ以上も離れたところからお産が近づいた妊婦たちが歩いてやってくるところなのだ。かつての日本でもそうだったように、新生児の死亡率が高いことが窺われる。用意されている医薬品は、3種類ほどの抗生剤と鎮痛薬などごく僅かだが、もちろんマラリアの薬はおいてある。 診療所の視察もほどなく終え、年配の女性たちが輪になってバナナの葉で家の屋根を編んでいるのを見ていると一人の女性が近寄ってきた。そして自分がこの村の小学校の校長であることを告げると、できる事ならば子どもたちの学習の支援をしてもらえないかと切り出された。この小学校には約100人の生徒がおり、寄宿舎もある。しかしながら、一か月1000円にも満たない学費が払えず途中でやめざるを得ない者もいるという。そういったなかでも上の学校に進もうとする生徒もいるわけで、教科書も満足に行き渡らないにもかかわらず、もはやコンピューターに触れておくことは必須だという。だが、電気はおろか飲料水も雨水を利用している有様で、基本的なインフラは一切整備されてない。何とか役に立ちたいのは山々だが、「一体どうしたものだろう・・・」という想いが頭を過ぎる。まさかこれがきっかけでこの後も訪問することになるとは、この時は夢にも思っていなかった。(つづく)
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by flora240 | 2011-02-20 13:14 | バヌアツ